フリウラーノ・コッリオ2021 D.O.C.　Friulano Collio 2021 D.O.C.

フリウーリのワインの中心地の一つであるブラッツァーノに位置するカンティーナ。所有する畑はフリウーリ・イソンツォの平野部とコッリオの丘陵部との双方に跨っている。現在も 当主を務めるフランチェスコ・ヴォスカは1959年の生まれで、同家は元々代々の葡萄を中心とした栽培農家だったが、かつて父の代までのこのエリアの農家の貧しさをよく 知っている。自身も幼少時から、そんな家族の中で葡萄や他の畑を耕していたという。その後、地元で農学を修めた彼も1980年代までは必死で生計を立てるべく、ワイ ン造り専業にはならなかったが、1990年代には葡萄栽培とワイン造りに集中することに決めた。丁寧な手作業による努力の甲斐あって2000年代初頭には、スローフード 協会やエスプレッソ誌などでも高い評価を得るワインを造ることが出来るようになった。近年は息子であるガブリエーレも手伝いながら、コッリオ/イソンツォ伝統の正統派な スタイルの白ワイン各種を中心に醸造している。現在の畑はイソンツォ側の平野部に小石がちで痩せた表層になる7haを、コッリオ側の丘陵部に3haを所有するが、特に コッリオ側の畑の管理には完全に人手のみによらなければならず重労働だが、主にマルヴァジアが多く栽培され、非常にリッチな葡萄を得ることに結実している。葡萄の仕 立てはこの地の伝統のカプチーナという仕立てをメインに採用している。畑の管理は環境保全型となり、堆肥と緑肥、銅と硫黄を中心に用いて除草剤はもちろん一切使 用しない。醸造では野生酵母を中心に使用し、ステンレスタンクとコンクリートタンクを適宜使い分ける。ヴォスカの白ワインは、アタックに力強さがあり、酒質として明るい 「陽」のニュアンスが全面に出ていることが特徴で、久しぶりに入荷した2021年の白3種は、正にその特徴が以前よりも進化していることが感じられた。それ故にアプロー チャブルであり、酸のバランスも取れて充実したエキス感はシリアスにならずとも分かりやすい。赤の一点”Re Franc”は、過去3回のみ極少量生産の特別キュヴェ。